婦人科がん検診

若い女性に多い子宮頸がん

「がん」と聞くと、身近な家族や親戚にがんになった人がいるとなりやすいというイメージがありますが、子宮頸がんは遺伝などに関係なく、性交経験がある女性なら誰でもなる可能性のある病気です。

近年では20代後半から30代に急増、若い女性の発症率が増加傾向にあります。
子宮頸がんは、女性特有のがんの中では乳がんに次いで第2位を占めており、特に20代から30代の女性においては、発症する全てのがんの中で第1位となっています。

また、全世界で毎年、27万人もの女性が子宮頸がんによって大切な命を失っています。
これは時間に換算すると約2分間に1人の割合。日本でも、毎年約15,000人(上皮内がんを含む)が子宮頸がんと診断されています。

尚、同じ子宮にできるがんでも、子宮体がんは閉経前後の50代から60代の女性に多く、若い女性に多い子宮頸がんとは対照的です。

子宮がんには2つの種類があります

子宮がんは、一般的にはひとまとめにされることが多いのですが、病変の部位によって「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分けられ、それぞれの種類によって症状の現われ方や検査の方法、治療法が異なります。したがって、子宮がんと診断された場合には、どちらであるかを把握しておく必要があります。

子宮頸がん

子宮は、女性にしかない特別な臓器のひとつです。この子宮の入り口付近、子宮頸部(しきゅうけいぶ)にできるがんを、「子宮頸がん」といいます。

子宮頸がんになった場合、子宮や子宮の周りの臓器を摘出しなければならなくなることがあります。
たとえ妊娠や出産を望まない女性であっても、後遺症が残り仕事や生活に影響するなど失うものは多大です。また、がんがもっと進行した場合、生命そのものに対して重大な影響を及ぼすおそれがあります。

しかし、子宮頸がんは原因やがんになる過程がほぼ解明されている、予防ができるがんです。また、定期的に検診を受けることで、がんになる前に発見し、子宮を失わずに治療することが可能です。
ですから、気になる症状などがある場合には、お早めにご相談頂くことが重要です。

子宮体がん

近年増加傾向にあり、50歳代から60歳代が罹患率のピークとなっています。子宮内膜部に発生し、子宮内膜がんとも呼ばれています。 増加傾向にある原因としては、食生活の欧米化が指摘されています。

子宮体がんの症状としては、不正出血やおりものの異常、排尿痛、排尿困難があります。
注意して頂きたいのは、通常の子宮がん検診においては、子宮体がんの検査はしていないということです。
したがって、検診の結果を見て安心せず、もし症状に思い当たるものがあれば、必ず医師に相談するようにして下さい。

予防は検診とワクチンで

まずは検診を受けましょう!

子宮頸がんは、女性の命はもちろんのこと、妊娠や出産の可能性まで奪ってしまう、生活や人生に大きな影響を及ぼす病気ですが、定期的な検診によってがんになる前に発見できる病気でもあります。

何らかの症状があったり、医師に相談したいことがおありの場合には、事前にメモを作って準備しておくと良いでしょう。より多くの情報を手に入れることは、より良い選択に繋がります。恥ずかしがったり遠慮したりせず、率直に質問して下さい。
ご自身の体を大切にすることは、決して恥ずかしいことではありません。

子宮頸がんは、定期的な検診によってがんになる前の状態(前がん病変)を発見することができ、がんになる前に治療が可能な病気です。検診そのものはわずか5分程度で終わります。
子宮と命を守るために、症状がなくても、1~2年に一度は、検診を欠かさずに受けられることをお勧め致します。

子宮頸がん予防ワクチンについて

子宮頸がん予防ワクチンは、発がん性HPVの中でも特に子宮頸がんの原因として最も多く報告されているHPV 16型とHPV 18型の感染を防ぐワクチンで、海外では既に100カ国以上で使用されています。
日本では、2009年10月に承認され、2009年12月22日より一般の医療機関で接種することができるようになりました。

感染を防ぐために3回のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期に渡り体を守ることが可能です。 しかし、このワクチンは、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。

子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がんの原因となりやすいHPV 16型とHPV 18型のウイルスに対する抗体をつくらせるワクチンです。
なお、このワクチンに含まれるウイルスには中身(遺伝子)がないので、接種しても感染することはありません。

子宮頸がんの原因は?

子宮頸がんは、その他のがんと異なり原因が解明されています。子宮頸がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることが明らかになっています。

子宮頸がんの原因である発がん性HPVは、皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染するウイルスで、多くの場合、性交渉によって感染すると考えられています。
HPVは、全ての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほど、とてもありふれたウイルスです。そのため、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。

気になる症状は?

子宮頸がんは、初期には全く症状がないことがほとんどで、ご自身で気づくことはできません。そのため、不正出血やおりものの増加、性交の時の出血などに気がついた時には、がんが進行しているということも少なくありません。

がんが進行すると、子宮を全て摘出する手術が必要になることもあり、妊娠、出産の可能性を失い、女性にとって心身ともに大きな負担となります。
また、周りの臓器にがんが広がっている場合には、子宮だけではなく、その周りの卵巣やリンパ節などの臓器も一緒に摘出しなければならなくなり、命にかかわることもあります。

がんになる前や初期の子宮頸がん進行した子宮頸がん
・ほとんどの場合無症状・性交時の出血
・おりものの異常
(茶褐色、黒褐色のおりものが増える等)
・不正出血(月経時以外の出血)
・下腹部や腰の痛み